約8年にわたり、文化放送気キニナルを御愛聴下さいました皆様、
本当にどうもありがとうございました。
この番組が目指していたものは、
日常の中で当たり前だと思っていることを、気になってみることで、
そこに感謝や驚きが生まれ、
何気ないことが楽しくなる日常を作り出すことでした。
そして何よりも、日常の中で、普通に感じていたことが、感謝になればと…。
今僕たちが、日々生活できていると言う事。
これはかなり恵まれたことなのではないかなと思うのです。
確かに世の中には、不平不満もあります。
それは当然僕だってそういう思いを持つ時もあります。
しかしながら、その一方で、
日常の当たり前の行動に楽しみを見つけることができれば、
それは感謝の心を持ち続けることにもつながるのではないかなと思うわけです。
幼い頃に、母親からお金を預かり、歯磨き粉をおつかいで、一人、買いに行ったことがありました。
その歯磨き粉、自分がチョイスすると言うこと。
そこにすごい責任を感じ、
商店街の薬局で何時間も、歯磨き粉とにらめっこして、
その時間をドキドキしながら感じていた自分がいました。
自分が選んだ歯磨き粉、およそ1ヵ月以上は家族みんなが使うことになる。
そんな時に歯磨き粉の裏を見てみる。
どんなものが使われているのか…
どんな会社が作っているのか…
どんな香りがするのか…
どんな味がするのか…。
そういったことを考えながら数時間を過ごしていて、
当時でもおよそ200円以下の歯磨き粉を選ぶことに
全神経を集中させていた私、岡田眞善。
そんな時に、
『この歯磨き粉、どういう思いで作った人がいるのか…』
そんなことに気になり始めて、考えるようになっていた幼稚園生でした。
そこから結局、この8年間の文化放送キニナルという番組まで、
あまり僕が変わっていないんですよね。(笑)
幼稚園生の時の歯磨き粉選びや電球選びが原点だったのかもしれません。
小学生ともなると、そういった工業製品、大量生産されるものを作ってる会社に、
お手紙を書くようになりました。
すると担当者からお返事が来たりとかして、嬉しくなり、興味津々。
文通状態になったり、工場見学まで招待してくださったこともありました。
とっても良くしてくれたと覚えているのは、
野崎産業、
日本航空、
三井物産、
川田工業、
JRA、
ロイヤル航空、
宮内庁主馬班、
本田技研、
エフエム東京、
エフエム富士、
などなど。
見学や、ご飯に連れて行ってくれたり、
ボーイングなどはパイロットマニュアルや、
B747-200の窓まで送ってくれました。
気になってしまったこと、
普段は気にならないこと、
でも、だれかの仕事のお世話になってる。
それを気にしてみることで、
知らない世界があることに気づくのです。
アタリマエは、当たり前じゃなくて凄かった!のだと。
小学生の僕がやっていたことは、
まさにこの番組、キニナルの取材スタイルです。
ただ、変わったことと言えば、いつ、何の取材を、どの放送時期に落とし込むか・・・。
それを考えるようになっただけで、
変わってはいなかったのです。
そのオドロキを伝える『放送』という作業では、
ディレクターのセンス、技量にほんとお世話になりました。
一時間や二時間、この番組に比較すれば、
何も用意せずとも、メールやテーマだけ決めれば、
面白い番組を創れる仲間もいます。
でも、この番組は、一時間という放送時間に、
毎回少なくとも二日以上の時間を3人が費やしました。
それで迎える一時間の放送。
手をかけて育てた番組という自負があります。
おそらく、かかわったみんながそう感じていることでしょう。
ネットでモノゴト調べれば、メーカーサイトなど、
広報が伝えたい魅力…を伝える情報は、手軽に、すぐにいっぱい出てきます。
いわゆる『公式』ってなやつです。
でも、それじゃー、面白くなくて、
価格.コムみたいな、使っている人の誉め言葉やら、
使ている人が感じている魅力、愛情、シーンなど・・・。
それは、公式には出てきません。
そんな価格.COMが大好きで、見ていても凄いなと。
あの、歯磨き粉選びを楽しんでいた僕からすれば、
そこは天国です。(笑)
想像ではなく、情報として、刻まれているわけですから。
そんな情報、想いが内側に、当然あるはずで、それを伝えることが出来るならばと。
『つくった人』が感じている魅力、想い、愛情。
それは、広報のソレとは違います。そういうケースばかりでした。
広報が伝えないことを伝えるコンテンツ、
しっかり出来たんじゃないかと思うわけです。
データじゃなくて、想い。
この番組のおかげで、僕には財産が出来ました。
一時一時、取材したケースに遭遇、再会する時間を楽しめています。
長らく御愛聴、有難うございました。
また。
さあ、今宵はロードバイク、愛車をゆっくり磨いてやりますか。