塩田武士さんの作品、
『罪の声』
朝の番組、ハイパーラジオ、ブックキングのために読むことになったが、
その一冊のシチュエーションに感服し、
影響受けての、いま。
思えば、
届いたその日、夜には番組の暑気払いがあり、
アルコールが入った僕であったが、
暑気払いも終わり、一人、バーへと。
もちろん、宇都宮、パイプのけむり武井・・・である。
そこで表紙を開いて読み始めると、
オーセンティックなバーが似合うような紳士的な雰囲気を頭の中につくられ、
一気に世界に引き込まれていってしまった。

僕の横では、眼科医のお二人の話。
途中、興味津々で、会話に参加してしまった。
常に評価を受けなければならない仕事について。
外科医と眼科医での評価、患者さんからの評価の在り方についての違い・・・
ラジオで話す仕事は、眼科医と似ているものなんだなと・・・。
そんな、有意義な会話の時間が終わって、
ホテルへ。
普通ならば、アルコール気持ちよく、眠りについてしまうところだが、
今回ばかりは、さっそく一本、電話を入れて、
それから、またもやページをめくり始めた。


人に宿ってしまった「宿命」に向かって、その真意、真実を追い求める姿。
そしてまた、追求することを仕事としつつも、
人間としての探究心から、人間味忘れることなく追いかける記者。
198ページ、286ページでは、思わず声を上げてしまったほど。
あの123便の散った夏、その少し前から世間を注目させていた、あの事件、
グリコ森永事件が。
しかも、その事件でこれまで、考えても見なかった視点、そこが深淵なる原点。
だからこそ、読み進めていくことが「楽しかった」
知的欲求だけではなく、真実への欲求ではなく、
人としての、甘んじて受け入れるしかない「宿命」と言うものに、
人間が対峙する姿のドキドキ。
あの、脅迫メッセージの、指示メッセージの子供の声は、
当時10歳くらいだった僕の耳にも印象に残っている。
その声の持ち主は??
僕と同じか、それより下の子であったはず。
ならば、真犯人がどうこうではなく、
それ・・・を経験した子供の存在は、絶対。
もう、これは読み進めるしかないわけです。
この一冊を番組で紹介できたこと、幸いでした。
そして、自分にも反省しながら読み進めたこと。
自分が幸せだと、ホッと出来てしまう瞬間も何度も。
子供を事件に巻き込んだ大人の存在、
色々な視点から読み進めることのできる一冊、作品。
暑い夏に、汗をかきながら読み進めても、
涼しさ・・・否、暑さを忘れるほどにページをめくりたくなる一冊。
さりげなく、蚊取り線香の香りを感じながら。